手術後に使用するクレキサン理解しておこう




もくじ

クレキサンとは

一般名はエノキサパリンで、分類は低分子量ヘパリンです。
下肢整形外科手術や腹部手術後の静脈血栓塞栓症を抑制する目的に使用される薬です。
細かい適応は添付文書で確認をお願いします。

普段使用しているヘパリン(ヘパリンNa、ヘパリンCa)は未分化ヘパリンであり特徴が異なります。

静脈血栓塞栓症とは

主に下肢や肺の血管に血栓ができ血管が詰まる病気です。
下肢の静脈に血栓ができれば深部静脈塞栓症、肺に運ばれた血栓が肺の血管を詰まらせると肺血栓塞栓症といいます。

手術後に静脈血栓塞栓症がなぜ起こりやすいのかといえば①血液凝固能の亢進②血流の停滞③血管内皮障害が関与していると言われています。

低分子ヘパリンの特徴は

未分画ヘパリン(ヘパリンNa、ヘパリンCa)は抗トロンビン活性=抗Xa活性が1:1であるのに対して、低分子量ヘパリンであるクレキサンは1:5とXaに対する作用選択性が高く,トロンビンに対する作用は比較的弱いです。そのため低分子ヘパリンは未分化ヘパリンとは異なりAPTTをほとんど延長させません。つまりAPTTのモニタリングは不要とされています。

またヘパリンの糖鎖の長さに依存する血小板への親和性も低いことから、血小板に対する影響が少なく出血も少ないとされています。

クレキサンで注意すること

  1. 腎機能での調整が必要
    腎排泄型の薬剤であるため腎機能障害の患者では効果が強く出る可能性があるため減量する必要があります。

    クレアチニンクリアランス
    80mL/min
    | 軽度 慎重投与
    50mL/min
    | 中等度 慎重投与  2000IUを1日1回投与することを考慮
    30mL/min
    | 重度 禁忌
  2. クレキサンが開始されてから硬膜外カテーテル(麻酔薬)を抜去する場合は決められたタイミングで抜去する。
    ・クレキサン投与開始10~12時間経過した後にカテーテルを抜去する。
    ・その後にクレキサン投与する場合はカテーテル抜去後2時間以上経過した後に行う。