【みんなの疑問】 mFOLFOX6やFOLFIRIの5-FUはなぜ急速静注と持続点滴に分かれているの?




まずみなさんご存知だと思いますが、mFOLFOX6療法は以下の投与スケジュールで行われています。

このスケジュールを見たとき誰もが思いますよね。

新人さん
なぜ5-FUは2つに分かれているの…

薬剤名主な商品名投与量投与方法投与時間投与日
オキサリプラチン
(L-OHP)
エルプラット85mg/m²点滴静注2時間day1
レボホリナート
(l-LV)
アイソボリン200mg/m²点滴静注2時間day1
フルオロウラシル
(5-FU)
5-FU400mg/m²急速静注急速day1
フルオロウラシル
(5-FU)
5-FU2400mg/m²持続静注46時間day1

これについてはまず5-FUの薬理作用を理解しないといけません。

5-FUは腫瘍細胞内においてリン酸化を繰り返し活性化代謝物であるFUTP、FdUMPになります。FUTPはRNAの機能を障害し、FdUMPはDNAの合成を阻害します。

主に5-FUの急速静注によってFUTPが生成されており、FUTPによりRNA障害作用が起きてます。

また5-FUの持続静注によってFdTPが生成され、FdTPによりDNA合成阻害が起きています。大腸がんのような進行が緩やか場合は持続静注の方が効果が高いと言われています。
そのため持続点滴はかかすことができません。

作用がやや異なるため出現する副作用も違います。

●骨髄抑制  急速静注 > 持続静注
●消化器症状 急速静注 < 持続静注

やくざいし
このことから副作用マネジメントして、骨髄抑制が遷延している患者さんの場合は5-FUの急速静注をOFFにして治療を継続させることもよくあります。