もくじ
高カルシウム血症とは
血清カルシウム濃度が正常域(10.2mg/dL以下)を超えてしまった病態のことです。
今回は特に悪性腫瘍に伴う高カルシウム血症の話をします。
日常入院している患者さんの採血結果をみていると基本的にカルシウムが検査項目に入っていないことが多く、測ってほしい時は医師に検査項目に追加してもらいます。
特に骨転移している方には高カルシウム血症のリスクがあるので測定を促していますね。
高カルシウム血症の症状にはどんなものがあるか
血清カルシウム濃度が12mg/dLを超えると症状が出始めると言われています。
・疲労
・傾眠
・食欲不振
・多尿
・意識障害(高度の場合)
補正カルシウム濃度で診断しよう
補正カルシウム濃度 (mg/dL) = 実測カルシウム(mg/dL) – 血清 Alb 値 (g/dL) + 4
この式は必ず覚えましょう。よく使います。
なぜ補正する必要があるのか。調べてみましょう。
基本的に血清カルシウムの約50%は遊離型カルシウムとして、残りは主にアルブミンに結合しています。
生理的活性をもつのは遊離型カルシウムですので遊離型を測定したいのですが、基本的に測定するのは血清総カルシウムなのです。
低アルブミン血症では遊離型カルシウムは減りませんが血清総カルシウムは減少します。
そのため求めたいものは遊離型カルシウムであるため補正式を用います。
アルブミンが通常濃度範囲であればあまり補正する必要はないと考えます。
高カルシウム血症を治療しよう
悪性腫瘍に伴う高カルシウム血症の場合どのあたりから治療すればよいのか難しいところです。
骨転移診療ガイドラインでは緊急性の高い高カルシウム血症(血清カルシウム濃度が15 mg/dL 以上)の際などと書いてあります。
私としては意識障害が疑われる場合で13-14mg/dL以上であればゾレドロン酸やデノスマブの投与を検討していいかなと思います。
普段こういう患者さんに出会った場合は私の施設ではすぐにゾレドロン酸ですかね。
徐々に下げる場合はエルシトニン注(合成カルシトニン誘導体製剤)を使用することもあります。
エルシトニンは骨吸収抑制薬のため血中のカルシウムを下げる力があります。
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