ステロイド外用剤を服薬指導する際のポイント




 

 ステロイド外用剤の服薬指導する際、患者さんにステロイドは強いもの・怖いものと思われていることも多々あるためステロイド外用剤の重要性を説明するとともに正しい塗布方法や副作用についての理解を得ることが重要です。

 塗布量について

 塗布量の指標としてFTU(Finger-Tip-Unit)が用いられます。
1FTUは口径5mmのチューブから、ステロイド外用剤を人差し指の先端から第一関節まで押し出した量(約0.5g)であり、大人の手のひら2枚分くらいの面積に塗ることができます。

ステロイド外用量の目安は以下の通りです。ステロイド外用剤だけでなく保湿剤の目安量として活用してみてください。

小児顔・頸部上肢下肢体幹 (前面)体幹 (背面)
3~6カ月1 (0.5g)1 (0.5g)1.5 (0.75g)1 (0.5g)1.5 (0.75g)
1~2歳1.5 (0.75g)1.5 (0.75g)2 (1g)2 (1g)3 (1.5g)
3~5歳1.5 (0.75g)2 (1g)3 (1.5g)3 (1.5g)3.5 (1.75g)
6~10歳2 (1g)2.5 (1.25g)4.5 (2.25g)3.5 (1.75g)5 (2.5g)
成人顔・頸部上肢下肢体幹 (前面)体幹 (背面)
 2.5 (1.25g)4 (2g)8 (4g)7 (3.5g)7 (3.5g)

 

 塗布する順番について

 ステロイド外用剤は病変部位にのみ塗布することが原則です。
ステロイド外用剤と保湿剤を併用する際は塗布面積の広い保湿剤を先に塗布し、後から病変部位にステロイド外用剤を塗布するとよいといわれています。

 

 ステロイド外用剤の吸収率の違いについて

 ステロイド外用剤の吸収率は部位によって大きく異なるため、顔面などの経皮吸収が盛んな部位への投与は慎重に行う必要があります。
ヒトの各部位へにおける吸収率の違いを以下の表にまとめています。

前腕
(内側)
足底足首手掌前腕
(外側)
背中
10.140.420.831.11.7
頭皮腋窩前額頬部陰嚢 
3.53.661342 

※前腕(内側)を1とする
Feldmann RJ, et al : J Invest Dermatol, 48 :181-183,1967より

 

 ステロイド外用剤の副作用

 内服薬と違って、ステロイド外用薬の場合は塗った場所の局所的な副作用にとどまります。医師の指示通りに使用していれば、一時的に副作用が起こったとしてもそれがずっと続く可能性は低いと考えられます。ただし、長期使用により皮膚萎縮(皮膚が薄く弱くなること)や毛細血管拡張(血管が網の目状に見えること)などが現れる可能性がありますので、何か症状が現れたら、早めに医師に相談しましょう。

 




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